2025.12.12
犬の避妊手術について
1. 犬の避妊手術とは
全身麻酔下で卵巣、子宮の摘出を行う手術です。避妊手術は、望まれない妊娠を避け、性ホルモンに関連した問題行動を抑制するほかに、性ホルモンに関連した疾患の発症リスクを下げることができます。
2. 性ホルモンに関連する行動や疾患とは
犬の性成熟の時期は、犬種差や個体差がありますが生後8~16ヵ月齢といわれ、性成熟を迎えてから発情期に入ります。発情期は年に2回ほどみられ、閉経はありません。犬の女の子の場合、発情期には陰部からの出血やホルモンの変化がみられ、食欲が落ちたり、落ち着きがなくなったりすることがあります。
発情後には、妊娠していないにも関わらず、乳腺の張りや営巣行動(巣作り、子育てのための行動)などがみられる「偽妊娠」という状態になることがあり、精神的にも身体的にも大きな負担がかかります。
こうしたホルモン変化に関連する疾患には、次のようなものがあります。
- 乳腺腫瘍(約50%が悪性腫瘍)
- 子宮蓄膿症
- 卵巣腫瘍
- 乳腺炎
これらは、避妊手術によって予防できる可能性があります。特に乳腺腫瘍では、初回発情前の避妊手術により発生率が大幅に軽減するという報告があります。将来のリスクを考慮したうえで、予防医療としての避妊手術をご検討ください。
3. 避妊手術のメリット・デメリット
<メリット>
- 望まれない妊娠を避けることができる
- 命に関わる疾患(子宮蓄膿症・乳腺腫瘍)、性ホルモン関連疾患の予防につながる
- 性ホルモン関連性の行動による負担、ストレスが軽減される
<デメリット>
- 麻酔下の手術のため、全身麻酔のリスクがある
- ホルモンバランスや代謝の影響で太りやすくなる
- 一度行うと、将来的に繁殖ができなくなる
避妊手術には大きなメリットがありますが、デメリットもゼロではありません。メリット・デメリットを正しく把握し、予防医療としての避妊手術をご検討ください。
4. 当院での手術の流れ
| ①診察 |
| 健康状態等の把握のため、一度診察にご来院ください。 |
| ②手術日の予約・注意事項等のご案内 |
| 手術日を決定し、前日の絶食・当日の絶食絶水などについてご説明します。 |
| ③術前の検査・手術 |
| 手術当日は午前9~10時の間にご来院ください。獣医師によりお預かりの後、麻酔前の血液検査を行います。検査結果に問題が無ければお昼に手術を行います。 |
| ④退院・抜糸 |
| 安全に配慮し1泊入院での退院です。 抜糸は2週間後に行います。 |
来院いただいてのご相談はもちろん、お電話でのご相談も承っていますので、ご不明な点などございましたらお気軽にご相談ください。













